「遺骨は納骨する」・・・でも
突然の死。
突然の別れ。
告別式。
告別式を終えた後は、お坊さんと四十九日法要の日取りとその日に納骨することを決めた。
その時は、遺骨は手元に置いておかず、お墓に「納骨する」と決めていた。
<納骨>とは、骨壷に入れた遺骨をお墓などに埋葬すること。お墓に納骨する場合は、カロートと呼ばれるスペースに納骨する。カロートは簡単に開けられないため、納骨日を設定し、石材店に納骨をしてもらう必要がある。費用はだいたい石碑の彫刻料5万円、お墓の開閉の心付けに2万円程度。
実は、お墓に関する法律「墓地埋葬等に関する法律」に納骨時期についての規定はない。先祖代々のお墓がある場合は、四十九日に行うことが多く、新しくお墓を建てる場合や気持ちに整理がつかない場合は、百箇日や一周忌を目処に納骨をするケースが多いよう。
納骨すると決めていても、四十九日法要の前日は夫の遺骨と離れ離れになるのが寂しくて寂しくて。
あぁ、いよいよ別々に暮らすんだなぁ、あちらの世界に行ってしまうんだなぁ、と。
そのことをようやくリアルに感じた。
遺骨をお墓にいれたくない
前日の夜になるまで、納骨したくない、なんて思わなかったのに。自分は本当に想像力のない人間だと思った。
直前になるまで、遺骨、夫だったものが別の場所(お墓の中)にずっといることになると、この40何日間、考えてこなかった。
でもいまさら「入れたくない」とも言えず、前日の夜は早くに子どもたちと寝た。
夫が亡くなってから私は寝ている時が一番幸せ。起きている時は現実逃避をしている時間がとても多い。
たまにブワッと現実が押し寄せて倒れこみそうになる時もあるけど、そんな時は考えないように、頭を働かせないように、急いでスイッチを切り替える。
そして、そんなことをする必要がない寝ている時が気楽で好きだ。
四十九日納骨法要の一日
法要中の気持ち
四十九日法要の日は、とても天気が良く空気も澄んだ良き日。
お経中は故人を思って、極楽浄土に行けるよう祈らなくてはいけないのに、1歳と3歳のパワーが本当にすごく、ほぼ集中できず…。
子どもってなんで大事な時に騒ぐんだろう!
そんなわけで法要中は子どもに意識がいって集中できず、「このあと納骨するんだ・・・」、ということを考えてさめざめ泣くこともなかった。
子どもがいてありがたいやら、なんやら。
おいおい、祈ってくれよ

と思われてないといいな。(別の誰かが強く祈っていてくれたことを祈る)
お経中は子どもたちに意識がいっていて涙がでなかったが、お経の後のお坊さんのありがたいお話しでは思わず涙がでた。
故人にとっては、残された人が前を向いて生きることが何よりの供養、忘れ形見を大事に育てあげましょう
ある意味、よくある言葉ではあるものの、私には深く染み入った。
夫が亡くなった直後は、
幸せに生きていいのだろうか、それを望んでいるのだろうか。
自分が亡くなったことをきっととても悔やんで悲しんでいるのに、わたし達の幸せを願っているのだろうか・・・。
そんなことをぐるぐる考えていたが、法要の日、この澄んだ空気の中で感じたのは、見守ってくれているような温かさだった。
いよいよ納骨
納骨をするためには「埋葬許可書」が必要。
<埋葬許可書>とは、納骨を行う場合に必要な書類。市町村役場に亡くなったら人の死亡届を提出すると、火葬許可と合わせて「埋火葬許可証」を発行してもらう。この手配は葬儀屋が行ってくれることが一般的(要確認)。火葬終了後は、この埋火葬許可証に証明印が押され、これが「埋葬許可証(埋火葬証明書)」となり、納骨時に納骨場所に提出する。
自治体によっては書類の呼称や手続きの流れが違うこともある。火葬と納骨で必要となる書類も異なる場合があるため、納骨に必要なものを確認しておくこと。
骨壺と一緒に埋葬許可書を渡す。
いままで祖父母を亡くしているものの、お墓にきちんと納骨する場面を見たことがなかったのか、今回は衝撃だった。
お墓の石をずらすと、そこは大きな落とし穴のようになっていて、先祖代々の骨壺がいくつか見えた。
3歳の長男も大きな穴にびっくりしたよう。大きな目を見開いて見ていた。
たしかに、大きな石をどかして納骨するには専門の人がいないとできないな…と、ちょっと冷静になりながら思った。
夫の骨壺はその大きな穴に納められた。
義母は泣いていた。
私も、暗い大きな穴がとても寂しく感じてしまい、本当に悲しい気持ちになった。
夫はもう二度とここから出ることはない。
この穴の中への日の光は次誰かが亡くなってまた石をどかす時まで降り注ぐことはない。
魂はせめて位牌に宿っていますように。
そう願って仏壇は日当たりの良いところに置きたいなと思った。
法要の後の食事
納骨の後はお坊さんも交えて会食を行うのが一般的だそう。
ただお坊さんは予定が詰まっていたので、「御膳料」をお渡しして、法要に集まった親族は我が家で食事を振舞うことになった。
<御膳料>は参列者にふるまう会食を僧侶がお召しにならない場合にお渡しするもの。相場は5千円~1万円。
幼い子ども達がいるため、会食は家でやって大成功。騒いでも気になりません~。
生前、夫が好きだったものを前日に作って用意。
気兼ねなくワイワイできた。
納骨の手順まとめ
埋葬許可書(無料)の用意
死亡届の提出時に発行してもらう
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納骨の日程調整
法要の集中しやすい土日休日に行う場合は早めに(告別式が終わったタイミングなど)、僧侶・お坊さんと相談しておく
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お布施の準備をする
お布施:1~5万円程度
お塔婆料:1本3千円程度
お斎(膳)料(食事代・僧侶が会食に参加しない場合のみ):5千円~1万円程度
石碑の彫刻料:5万円程度
お墓の開閉の心付け:2万円程度
※地域・場所によって金額は変動
※上記金額は都内在住親族・知人のアドバイス&今回の私の経験の金額
↓
納骨法要を行う
法要中は故人との思い出など、個人のことを強く思うと良いそう
↓
法要後の会食
お店を手配するのが一般的。小さなお子様がOKかなところがほとんど。
我が家は自宅で用意。宅配ピザも頼んだ。
納骨を終えて思うこと
四十九日のタイミングで納骨をして本当によかったのか、今も考える。
でも、悲しい出来事の前では過去のことをずっと繰り返し考えてしまい、未来のことを考える余裕が私にはなかった。
そんな私からすると、四十九日を過ぎても遺骨は手元に置くと考えて決断できた人はすごいなと思う。
ただどんな判断をしても故人が次の世界で幸せであるように、そう強く思う。